カメラ旅行記

知っておきたい!バングラデシュ入門ガイド【2024年最新版(前編)】

1. はじめに

突然ですが、バングラデシュという国名を聞いたとき、皆さんはどのようなイメージを抱くでしょうか?多くの方にとっては、南アジアのどこかにある国、あるいは発展途上国のひとつといった漠然としたイメージかもしれません。しかし、バングラデシュはその地理的特性、歴史、そして急成長する経済を通じて、これからますます注目を集める国のひとつです。僕のブログでは東南アジアや南アジアの国々へ訪れた際の写真と共にその国の歴史の勉強も含めブログ記事にしています。

JICA HPより引用

バングラデシュとはどんな国か?

バングラデシュは、南アジアに位置し、東はインド、南はベンガル湾、西はミャンマーと国境を接しています国土面積は日本の約4割程度しかありませんが、人口は1億7千万人以上(2024年時点)と、世界で8番目に人口の多い国です。この人口密度の高さから、「世界で最も人が密集している国」とも言われています。

国名の「バングラデシュ」は、ベンガル語で「ベンガルの国」を意味します。国民のほとんどが話すベンガル語(バングラ語)は、詩的で美しい言語として知られ、詩人ラビンドラナート・タゴールの作品がその象徴です。

発展する国としての位置づけ

バングラデシュは、かつては貧困や災害のイメージが強かった国ですが、現在では急成長を遂げる新興経済国として注目されています。特に、縫製業を中心とした輸出産業が経済を支え、経済成長率は世界的にも高い水準を維持しています。また、若い労働人口が豊富で、IT産業やスタートアップ文化も台頭しつつあります。

今回の記事では、そんなバングラデシュの魅力や可能性を、歴史、文化、経済、観光など多角的な視点から解説していきます。これを通じて、バングラデシュという国が持つ多様な魅力を感じていただければ幸いです。

2. バングラデシュの基本情報

バングラデシュを深く知るためには、まずその基本情報を押さえることが大切です。この章では、地理、気候、人口、そして宗教といった基礎的なトピックについて詳しく解説していきます。

1. 地理と気候

バングラデシュは、南アジアに位置する内陸国で、国土の大部分が平野で構成されています。その中心を流れるのが、世界でも有数の巨大河川であるガンジス川、ブラマプトラ川、メグナ川です。これらの川が合流してベンガル湾に注ぐ地域には、豊かな肥沃な土壌が広がっています。この地形のおかげで、農業が古くからこの国の主要産業となっています。

しかし同時に、この低地地形は洪水のリスクを高める要因にもなっています。雨季(6月〜10月)には、大雨と川の増水による洪水が発生しやすく、国民生活に大きな影響を及ぼしています。一方で乾季(11月〜3月)は穏やかな気候が続き、観光にも適したシーズンです。

バングラデシュの気候は熱帯モンスーン気候に分類されており、高温多湿な環境が特徴です。特に雨季には大雨が頻繁に降り、湿度も非常に高くなります。一年を通じて気温は25〜35℃程度と温暖ですが、夏には40℃近くまで上がることもあります。

バングラデシュを流れる河川:Wikipediaより引用

2. 人口と宗教

バングラデシュの人口は約1億7千万人(2024年時点)と、世界で8番目に多い国です。この人口の多さが、同国の経済や文化を特徴付けています。人口密度は世界でもトップクラスで、都市部では人々が密集して暮らしている光景が日常的に見られます。

宗教に関しては、イスラム教が約90%を占め、国教としても深く根付いています。イスラム教の中でもスンニ派が主流であり、モスクが至るところにあり、1日の祈りの時間は国民の生活のリズムに組み込まれています。一方で、ヒンドゥー教徒が約8%、仏教徒やキリスト教徒などの少数派も共存しており、多宗教の共生が見られる点も特徴です。

宗教が日常生活に及ぼす影響は大きく、イスラム教の戒律に基づく食文化や、ラマダン(断食月)期間中の独特の雰囲気は特に印象的です。また、宗教的祝日には街中が賑やかな雰囲気に包まれます。

3. 言語と文化

バングラデシュの公用語はベンガル語(バングラ語)です。この言語は単なるコミュニケーション手段を超え、文学や詩の世界で重要な役割を果たしてきました。国民はこの言語を非常に誇りに思っており、母語運動(1952年の言語闘争)によって多くの犠牲を払ってベンガル語の地位を守り抜いた歴史もあります。

また、英語もビジネスや教育の場で広く使われています。特に都市部では、英語を流暢に話す若者が多く見られることから、グローバル化への適応も進んでいます。

一方で現地での体感としては、ビジネスマン以外での英語の利用についてはまだまだ未発達といった感じで、日本人の英語利用と同等のイメージです。

4. 社会構造

バングラデシュは、農業を基盤とした国であり、今でも人口の多くが農村部で生活しています。ただし、都市部への人口流入が進んでおり、ダッカやチョットグラムなどの主要都市は過密状態にあります。この都市化の流れが新たな社会問題を生みつつも、経済成長の原動力ともなっています。

バングラデシュの経済成長は目覚ましく、特に衣料品産業やインフラ開発が国を大きく変化させています。しかし、その一方で急速な工業化と都市化がもたらした環境問題は深刻です。大気汚染と河川の汚濁は、現在のバングラデシュが直面する最も重大な課題のひとつです。

大気汚染:危険なレベルの空気質

バングラデシュの首都ダッカは、世界でも大気汚染が深刻な都市のひとつに数えられています。建設工事が絶え間なく続き、大量の粉じんや排ガスが空気中に放出されています。また、工場からの煤煙や古い車両による排気ガスも、汚染の主な原因です。特に乾季には風が弱く、汚染物質が地表付近に滞留しやすいため、空気質がさらに悪化します。

このような状況は、住民の健康に深刻な影響を及ぼしており、慢性的な呼吸器疾患や心血管系の病気を引き起こす要因となっています。世界保健機関(WHO)の基準をはるかに超えるPM2.5濃度(なんと40倍!)が常態化しており、特に子どもや高齢者の健康被害が懸念されています。

現地に行った際も、大気が粉塵や排ガスにより白く霞んでおり、マスクなしで息をすると喉が痛くなるほどです。

Google MapによるAQI(Air Quality Index)
大気汚染により霞んでいるダッカ市内

河川汚濁:命を支える川の危機

バングラデシュは「川の国」と呼ばれるほど豊富な水系に恵まれていますが、その川が深刻な汚染にさらされています。特に都市部の河川では、工場排水や生活排水が適切に処理されることなく直接放流されており、水質の悪化が進んでおり、常に下水の臭気が漂っています。

例えば、ダッカを流れるブルガンガ川は、繊維工場や皮革工場からの排水により、化学物質や重金属で汚染されています。この汚れた水は、周辺住民の生活用水や農業用水として使われることも多く、健康リスクを高めています。また、汚染された水域は生態系にも大きな影響を与えており、川に生息する魚や水生生物が減少している状況です。現地の人に聞いても「川に魚はいないよ」とのことで水質汚染が進んでいるのが現状です。

大量のゴミによって水面が見えないダッカ市内の川辺

環境問題の解決に向けて

バングラデシュ政府や国際機関は、これらの環境問題に対応するための政策を進めています。例えば、再生可能エネルギーの導入や、汚染源となる工場への規制強化がその一環です。しかし、急速な経済成長に追いつくためには、さらなる資源の投入や効果的な施策が必要とされています。

バングラデシュの持続可能な発展を実現するには、経済成長と環境保護のバランスを取ることが欠かせません。この国が持つ豊かな自然と資源を守りながら成長を続けることが、未来の世代にとっての鍵となるでしょう。

3. 歴史と文化

バングラデシュの歴史と文化は、この国が長い間、多様な民族や宗教、そして支配体制の影響を受けてきたことを物語っています。この章では、バングラデシュがどのように形成され、どんな文化を育んできたのかを解説します。

1. 歴史の流れ

バングラデシュの地には、数千年前から文明が栄えていました。ベンガル地方として知られるこの地域は、歴史的にインド亜大陸の交易や文化の中心地であり、さまざまな支配者のもとで繁栄してきました。

古代から中世

• 紀元前3世紀、マウリヤ朝の支配下でこの地は重要な一部となりました。その後、仏教が広まり、多くの仏教寺院や遺跡が建設されました。特に、ソンゴンボンブ遺跡(Somapura Mahavihara)はその代表例です。

• 12世紀以降、イスラム教徒の支配が始まり、スルタンやムガル帝国の影響下でベンガル地方は経済的に発展しました。この時期に、イスラム教が広く普及しました。

近代:イギリス統治から独立へ

• 18世紀後半、ベンガル地方はイギリス東インド会社の支配下に入り、植民地時代が始まりました。この時期、インフラの整備が進む一方で、経済格差が広がりました。

• 1947年、イギリスの植民地支配から解放されたインド亜大陸は、宗教を基にインドとパキスタンに分割されました。現在のバングラデシュ地域は、当時「東パキスタン」として西パキスタン(現在のパキスタン)と一つの国家を構成しました。

• 1971年、ベンガル人の言語と文化を軽視する西パキスタン政府に対し、独立戦争が勃発。この戦いの末、バングラデシュは独立国家として誕生しました。

2. 豊かな文化の形成

バングラデシュの文化は、インド亜大陸や中東からの影響を受けながらも、独自性を保っています。

文学と詩

バングラデシュは「詩と歌の国」とも呼ばれるほど文学が豊かです。特に、ノーベル文学賞を受賞した詩人ラビンドラナート・タゴールや、革命詩人カージ・ナズルイスラムの作品が有名です。

ベンガル語は非常に美しい音律を持つ言語として評価され、言語を守るための運動(1952年の言語運動)は国民の誇りとなっています。

伝統音楽とダンス

民族音楽はバングラデシュ文化の重要な一部です。特に「バウル」と呼ばれるスピリチュアルな歌は、詩的で哲学的なテーマを持ち、聞く者を魅了します。

ダンスもまた、宗教的儀式や祭りで重要な役割を果たします。

伝統的衣装

女性はサリー、男性はパンジャビやルンギ(伝統的な布製の腰巻き)を着るのが一般的です。色鮮やかなデザインが多く、特に祭りの時期には華やかな装いが見られます。またサリーの中にも生地によってTPOが異なりますので、ぜひ現地へ行った際は周りの女性を見回してみてください。

3. 祭りと行事

バングラデシュでは、宗教や季節に関連するさまざまな祭りが開催されます。

バイシャキ(ベンガル暦の新年)

毎年4月14日に祝われるこのお祭りは、ベンガル文化を祝う最大のイベントです。街中に伝統的な装飾が施され、音楽やダンス、パレードが行われます。

イスラム教の祭り

ラマダン(断食月)明けのイード・アル=フィトル(断食明けの祭り)は、家族や友人と共に盛大に祝われます。

犠牲祭(イード・アル=アドハー)では、動物の犠牲を通じて信仰心が表現されます。

ヒンドゥー教の祭り

ドゥルガー・プージャ(女神ドゥルガーを祝う祭り)はヒンドゥー教徒の間で最も重要な祭りの一つです。これにより、宗教を超えた文化交流も進んでいます。

4. 経済と産業

バングラデシュの経済は、かつて農業が中心だった時代から脱却し、現在では製造業やIT産業が成長を牽引しています。また、国際社会の支援を受けながら、独自の発展を遂げつつある注目の新興国です。この章では、バングラデシュ経済の基盤となる主要産業とその未来の可能性について解説します。

1. 繊維産業:経済の柱

バングラデシュの経済を語る上で、繊維産業を外すことはできません。バングラデシュは、世界で2番目に大きな衣料品輸出国であり、「メイド・イン・バングラデシュ」のタグを見かけたことがある方も多いのではないでしょうか。僕が愛用しているNikeやUNIQLOの衣類などは多くがバングラデシュ製になっています。(しかしバングラデシュにNikeやUNIQLOの店舗はありません!)

輸出市場の拡大

バングラデシュの衣料品輸出は、アメリカやヨーロッパを中心に年間400億ドルを超える規模を誇ります。

特にファストファッションブランド向けの製品が多く、生産コストの低さと労働力の豊富さが競争力の源泉となっています。

課題と改善

労働環境の問題や、工場の安全性向上が課題とされていますが、近年は国際的な基準を満たすための取り組みが進んでいます。

2. 農業と水産業:依然として重要な基盤

バングラデシュは肥沃な土壌と豊富な水資源に恵まれており、農業は今でも多くの人々の生活を支える重要な産業です。

主要作物

米は主食であり、国民の食卓に欠かせません。その他、ジャガイモ、ジュート(黄麻)、魚類が主要な生産品として挙げられます。バングラデシュの人たちは日本人よりもお米をよく食べます!一食あたり2合くらいの米が出てきます笑

ジュートは「黄金の繊維」と呼ばれ、輸出品としても重要な役割を果たしています。

水産業の発展

ガンジス川やブラマプトラ川などの豊かな水系を活用し、漁業も盛んです。エビやティラピアなどが国内外で高い需要を誇ります。

カレーにも川魚が非常に多く活用されており、フィッシュカレーやフィッシュフライなど、食卓の至る所で目にすることができます。

3. IT産業とスタートアップの台頭

バングラデシュは、若い労働人口と政府のIT政策を背景に、急速にデジタル経済が発展している国でもあります。

ITアウトソーシング

ソフトウェア開発やカスタマーサポート、データ処理といった分野でのアウトソーシングが盛んです。

特に、若いエンジニアやフリーランサーがオンラインプラットフォームを活用して国際的な案件を受注している状況は注目に値します。

スタートアップ文化

フィンテックや物流、Eコマース分野でのスタートアップが増加中です。これにより都市部での新たな雇用が生まれています。

4. インフラと都市開発

近年、バングラデシュではインフラ整備が急速に進んでいます。特に都市部での開発は著しく、これが経済成長のエンジンとなっています。

主要プロジェクト

ダッカ都市圏では、MRT(都市鉄道)や高速道路の建設が進められており、交通の利便性が大幅に向上することが期待されています。

パドマ橋の完成により、地方と都市部のアクセスが飛躍的に改善しました。

外国からの投資

日本を含む諸外国からの直接投資が増加しており、製造業やエネルギー分野での協力が拡大しています。

5. 今後の展望

バングラデシュ経済は、農業から製造業、さらにはデジタル経済へと着実に変化を遂げています。この国の若い労働力、戦略的な地理的位置、そして政府の積極的な政策が、さらなる成長の可能性を秘めています

しかし同時に、インフラ不足や気候変動、所得格差といった課題にも直面しています。これらの問題を乗り越えながら、持続可能な発展を目指すことが、この国の未来を形作る鍵となるでしょう。

ここまでで、バングラデシュの基本情報、歴史と文化、そして経済や産業について概観してきました。この国がいかに多様性と成長の可能性を持っているかが、少しでも伝わったのではないでしょうか。

次回の後編では、バングラデシュの観光地や見どころ、日常生活の魅力、さらには日本との関係について掘り下げていきます。歴史や経済を踏まえた視点で、バングラデシュの生活や風景に目を向けると、新たな発見があるはずです。どうぞお楽しみに!

ダッカ市内の露店
   

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