下落相場に際しての心構え
投資をしていると、誰しもが一度は経験する「下落相場」。株価や市場全体が急激に下がると、恐怖や不安に駆られやすくなります。しかし、冷静に対処するためには心構えが重要です。本記事では、大きな下落相場に際しての心構えについて解説します。
僕はかねてより記事にしている通りインデックス投資一本で資産形成をしていこうと強く意思を持っているので、今回の下落でも気にしていません。
1. 冷静さを保つ
冷静さを保つための具体的な対策
市場の歴史を学ぶ
株式市場の歴史を学ぶことで、過去の下落相場がどのように展開し、その後どのように回復したかを理解できます。例えば、2008年のリーマンショックや2000年のドットコムバブルの崩壊など、過去の危機を乗り越えた市場の動きを知ることは、冷静さを保つ助けになります。
ちなみに過去の主な暴落を下記にまとめてみました。
今回の下落と比較すると下落の幅が違いますね。今回は暴落にも入らなそうです。
- Wall Street Crash of 1929(世界恐慌):下落率:約89%(DJI)
- Dot-Com Bubble Burst 2000-2002(インターネットバブル崩壊):下落率:約78%(NASDAQ)
- Subprime Mortgage Crisis 2008(リーマンショック):下落率:約57%(S&P 500)
- COVID-19 Crash 2020(コロナショック)下落率:約34%(S&P 500)
- Black Monday 1987(ブラックマンデー)下落率:約22.6%(DJI/日)
投資方針の再確認
投資を始める際に自分が設定した方針や目標を再確認しましょう。投資方針には、投資期間、リスク許容度、目標リターンなどが含まれます。これらを確認することで、自分の投資が長期的に見て正しい方向に向かっているかを再評価できます。
定期的なリバランス
ポートフォリオの定期的なリバランスを行うことで、リスクを管理しやすくなります。リバランスとは、投資割合が崩れた際に元の資産配分に戻すことです。これにより、市場の変動に対して冷静に対応できます。
心理的なバイアスを理解する
投資においては、心理的なバイアスが大きな影響を与えることがあります。例えば、損失回避のバイアスや集団心理に流されるバイアスなどです。これらのバイアスを理解し、自分が感情に左右されていないかを確認することが重要です。
セーフティネットを用意する
緊急時のために現金のセーフティネットを持っておくことも冷静さを保つ手助けになります。投資とは別に、生活費の3〜6ヶ月分の現金を確保しておくことで、投資資産が減少しても生活に直結する影響を避けることができます。
情報のフィルタリング
市場が大きく下落する時期には、メディアやインターネット上に多くのネガティブな情報が溢れます。これらの情報に過度に影響されないよう、信頼できる情報源を選び、自分の投資方針に基づいた冷静な判断を心がけましょう。
メンターや専門家の意見を聞く
信頼できるメンターや投資の専門家に相談することで、冷静な視点を得ることができます。彼らの経験や知識を活用することで、感情に左右されずに賢明な判断を下す助けになります。特に僕の場合はいつも視聴しているYouTuberの人がいるため、その人の動画を視聴し参考としています。
2. 長期的な視点を持つ
長期的な視点を持つための具体的な対策
過去の市場データを参考にする
株式市場の過去のデータを分析することで、長期的なトレンドを理解することができます。例えば、S&P 500や日経平均株価の過去数十年にわたる動きを見ると、短期的には大きな上下動があるものの、長期的には成長傾向にあることがわかります。これにより、一時的な下落に対する不安を軽減し、長期的な視点を持つことができます。
バイ・アンド・ホールド戦略
バイ・アンド・ホールド戦略は、株式を長期間保有することを前提とした投資方法です。この戦略では、短期的な市場の変動に左右されず、企業の成長や市場全体の成長を期待して投資を続けます。バフェットなどの成功した投資家がこの戦略を採用していることでも知られています。またこの手法を詳述した書籍をリンクに貼っておきますので、ぜひ参考にしてください。
ドルコスト平均法
ドルコスト平均法は、一定の金額を定期的に投資する方法です。これにより、株価が高い時も低い時も買い続けるため、購入価格が平均化されます。市場が下落している時も投資を続けることで、平均購入価格を引き下げることができ、長期的な視点で利益を得る可能性が高まります。
配当再投資
配当金を再投資することで、複利の効果を活用できます。配当金を再投資すると、次回の配当は再投資分も含めた金額に対して支払われるため、資産が加速度的に増加します。長期的な視点で見ると、配当再投資は非常に強力な資産増加手段となります。
自分の投資目的を明確にする
投資の目的を明確にすることで、長期的な視点を保ちやすくなります。例えば、老後の資産形成や子供の教育費用のためなど、具体的な目標を設定することで、短期的な市場の変動に惑わされず、長期的な目標に集中することができます。
心理的な耐久力を養う
市場の変動に対する心理的な耐久力を養うことも重要です。大きな下落相場に直面したとき、冷静さを保ち、長期的な視点を持ち続けるためには、感情に流されずに判断できるようになることが必要です。これには、過去の成功体験を振り返り、自分の投資戦略に自信を持つことが役立ちます。
3. 分散投資の重要性
分散投資の重要性と具体的な方法
分散投資とは
分散投資とは、リスクを軽減するために、資産を複数の異なる投資対象に分けて投資することを指します。一つの投資対象に全額を投入するのではなく、異なる資産クラスや地域、業種に分散することで、リスクを分散し、ポートフォリオ全体の安定性を高めることができます。
分散投資のメリット
- リスク軽減: 特定の銘柄やセクターに集中投資すると、その銘柄やセクターが不調に陥った際、ポートフォリオ全体が大きな影響を受けます。分散投資を行うことで、個別のリスクを低減し、全体のリスクを管理しやすくなります。
- 安定したリターン: 分散投資は、特定の投資が不調でも他の投資が好調であれば、全体として安定したリターンを得る可能性が高まります。市場の変動に対しても柔軟に対応できます。
- 心理的な安心感: 投資を分散することで、一つの投資対象に対する過度な不安やプレッシャーを軽減できます。これにより、冷静な判断がしやすくなります。
分散投資の具体的な方法
資産クラスの分散
異なる資産クラスに投資することでリスクを分散します。主な資産クラスには以下があります。
- 株式: 企業の成長や利益に基づくリターンが期待できます。
- 債券: 定期的な利息収入が得られ、比較的安定したリターンが期待できます。
- 不動産: 賃貸収入や資産価値の上昇が期待できます。
- コモディティ: 金、原油などの実物資産で、インフレーション対策やリスク分散に役立ちます。
地域の分散
投資先の地域を分散することで、特定の国や地域の経済状況に依存しないポートフォリオを構築できます。例えば、国内株式、米国株式、新興市場株式などに分散することが考えられます。僕は米国一極集中ですが、その中でも500社に分散しているので分散投資、、、ということにしています。他の国への投資のほうがリスク、と考えに基づいています。
業種の分散
異なる業種に投資することで、特定の業界のリスクを軽減できます。例えば、テクノロジー、医療、金融、消費財など、異なる業種の銘柄に分散して投資することが有効です。
インデックスファンドやETFの活用
インデックスファンドやETF(上場投資信託)は、分散投資を手軽に実現する手段です。これらの投資商品は、特定の指数に連動するため、自然と多くの銘柄に分散投資することができます。
分散投資の実践例
例えば、以下のようなポートフォリオを考えてみましょう。
- 株式50%: 米国株式30%、日本株式10%、新興市場株式10%
- 債券30%: 米国国債20%、企業債券10%
- 不動産10%: 不動産投資信託(REIT)
- コモディティ10%: 金5%、その他コモディティ5%
このように資産クラス、地域、業種を分散することで、ポートフォリオ全体のリスクを効果的に管理し、安定したリターンを目指すことができます。
4. 資産配分の見直し
資産配分の見直しの重要性
資産配分(アセットアロケーション)とは
資産配分とは、投資ポートフォリオ内の資金を異なる資産クラスに割り振ることを指します。主な資産クラスには株式、債券、不動産、コモディティ、キャッシュなどがあります。適切な資産配分を行うことで、リスクとリターンのバランスを取りながら、投資目標を達成することができます。
資産配分の見直しの重要性
市場の状況や自身のライフステージの変化に応じて、資産配分を定期的に見直すことは非常に重要です。これにより、投資ポートフォリオのリスクを管理し、長期的な投資目標を達成するための道筋を維持することができます。
資産配分の見直しの具体的な方法
定期的なリバランス
リバランスとは、投資ポートフォリオの実際の配分が目標の配分からずれた場合に、元の配分に戻すことを指します。例えば、株式の割合が増えすぎた場合、株式を売却し、債券を購入することで元の配分に戻します。これにより、リスクを管理し、資産配分のバランスを保つことができます。
リバランスの頻度
リバランスは定期的に行うことが推奨されます。一般的には年に1〜2回行うのが適切とされていますが、市場の変動が大きい場合はより頻繁に見直すことも考慮しましょう。
ライフステージに応じた見直し
自身のライフステージや投資目的に応じて、資産配分を見直すことも重要です。例えば、若い頃はリスク許容度が高いため、株式の割合を多くすることが一般的ですが、引退が近づくにつれて、より安定した債券やキャッシュの割合を増やすことが推奨されます。
具体例: ライフサイクルファンド
ライフサイクルファンドは、投資家の年齢やライフステージに応じて自動的に資産配分を調整するファンドです。若い時期には株式中心の攻めの配分を行い、引退が近づくにつれて債券中心の守りの配分にシフトします。
経済状況や市場環境の変化に対応
経済状況や市場環境の変化に応じて、資産配分を見直すことも必要です。例えば、インフレが高まる局面ではコモディティへの投資を増やす、金利が上昇する局面では債券の配分を見直すなど、状況に応じた柔軟な対応が求められます。
具体例: インフレヘッジとしてのコモディティ
インフレが進行する局面では、コモディティ(例: 金、原油)への投資が効果的なヘッジ手段となります。これにより、インフレによる資産価値の目減りを防ぐことができます。
リスク許容度の再評価
自分のリスク許容度を定期的に再評価し、それに応じて資産配分を見直すことも重要です。市場の変動や個人の経済状況の変化により、リスク許容度は変わることがあります。自分のリスク許容度を正確に把握することで、無理のない資産配分を行うことができます。
5. 買い増しの検討
買い増しのタイミングを考える重要性
買い増しの意義
買い増しとは、既に保有している資産をさらに購入することを指します。特に市場が下落しているときに買い増しを行うことで、平均購入価格を下げ、将来的なリターンを向上させることができます。しかし、買い増しのタイミングを誤ると、リスクが高まる可能性もあるため、慎重な判断が必要です。ナンピン買いともいいますが、個別株の下落相場での買い増しは、リスクもあることを理解しておいてください。
買い増しの具体的な方法とタイミング
ドルコスト平均法の活用
ドルコスト平均法(DCA)は、一定額を定期的に投資する方法です。これにより、市場価格が高いときも低いときも購入を続けるため、平均購入価格が平準化されます。下落相場でも投資を続けることで、割安な価格での買い増しが可能になります。
具体例
例えば、毎月1万円を投資する場合、株価が高いときには少ない株数を、株価が低いときには多くの株数を購入することになります。これにより、長期的には平均購入価格が低くなり、将来的なリターンが向上します。
バリュー投資の視点からの買い増し
バリュー投資とは、割安と判断される銘柄に投資する戦略です。市場全体が下落しているとき、特に優良企業の株価が割安になることがあります。こうした銘柄を見極めて買い増しすることで、将来的なリターンを期待できます。僕はこのやり方はあまりお勧めしません。
割安判断の指標
- PER(株価収益率): 低いほど割安とされる
- PBR(株価純資産倍率): 低いほど割安とされる
- 配当利回り: 高いほど割安とされる
テクニカル分析の活用
テクニカル分析を用いて買い増しのタイミングを計ることも有効です。移動平均線やRSI(相対力指数)などの指標を活用して、市場の底を見極めることができます。
具体的な指標
- 移動平均線: 長期の移動平均線が短期の移動平均線を上回るクロスオーバーが買いシグナル
- RSI(相対力指数): 30以下は売られ過ぎと判断され、買いのタイミングとされる
分割買い増し戦略
一度に全資金を投入するのではなく、分割して買い増しを行う戦略です。例えば、下落相場が続く場合、数回に分けて段階的に購入することで、リスクを分散させることができます。
具体例
- 第1段階: 市場が10%下落した時点で1/3の資金を投入
- 第2段階: 市場がさらに10%下落した時点で1/3の資金を投入
- 第3段階: 市場がさらに10%下落した時点で残りの1/3の資金を投入
心理的な準備と計画
買い増しを行う際には、事前に計画を立て、心理的な準備をしておくことが重要です。市場が下落しているときに冷静な判断を下すためには、予め決めたルールに従い、感情に左右されないようにすることが必要です。
計画例
- 目標株価: 買い増しを行う株価の目安を設定する
- 投資額: 各段階で投入する資金の割合を決める
- 評価期間: 一定期間ごとにポートフォリオを見直し、計画に従って修正を行う
6. 過去の成功者の教訓を学ぶ
過去の成功者の教訓を学ぶ重要性
なぜ成功者の教訓が重要なのか
過去の成功者たちは、市場の波を乗り越え、長期的に高いリターンを得てきました。彼らの経験や教訓を学ぶことで、自分の投資戦略や行動に取り入れることができます。これにより、下落相場でも冷静に対応し、効果的な投資判断を下すことができます。
著名な投資家とその教訓
ウォーレン・バフェット
ウォーレン・バフェットは、バリュー投資の達人として知られています。彼の投資哲学は以下の通りです。
バフェットの教訓
- 長期的な視点を持つ: バフェットは短期的な市場の変動には目を向けず、企業の本質的価値に基づいて投資を行います。
- 割安な企業を見つける: 株価が企業の内在価値よりも低いときに購入することで、将来的なリターンを最大化します。
- 持ち続ける: バフェットは「お気に入りの株は永遠に持ち続けるべき」と言います。企業の成長を信じ、長期的に保有する姿勢を貫きます。
ベンジャミン・グレアム
ベンジャミン・グレアムは、バフェットの師匠であり、「証券分析」や「賢明なる投資家」の著者として有名です。
グレアムの教訓
- 安全マージンを確保する: 投資する際には、株価が企業の内在価値を大きく下回る「安全マージン」を持つことが重要です。
- 感情を排除する: グレアムは、感情的な判断を避け、冷静で論理的なアプローチを取ることの重要性を強調しています。
- 市場の短期的な動きに惑わされない: グレアムは市場を「ミスター・マーケット」と呼び、彼の気まぐれな動きに振り回されないようにするべきだと説きました。
ピーター・リンチ
ピーター・リンチは、フィデリティ・マゼラン・ファンドを率いて、驚異的なリターンを上げたことで知られています。
リンチの教訓
- 自分の理解できるものに投資する: リンチは、自分がよく理解している企業や業界に投資することを推奨しています。
- リサーチを怠らない: 徹底的なリサーチを行い、企業のファンダメンタルズを詳しく調査することが重要です。
- 成長企業に投資する: 成長が見込める企業に投資することで、大きなリターンを得る可能性があります。
実践への応用
自分の投資哲学を確立する
成功者の教訓を学び、自分の投資哲学を確立することが重要です。例えば、バフェットの長期的な視点やグレアムの安全マージンの考え方、リンチの成長企業への投資など、自分に合った要素を取り入れましょう。
感情に左右されないための対策
市場の変動に対して冷静に対応するためには、事前に計画を立て、感情に左右されないようにすることが必要です。例えば、バフェットのように市場の短期的な動きを無視し、企業の本質的価値に焦点を当てることが有効です。
継続的な学びとリサーチ
成功者たちは常に学び続け、リサーチを怠りません。投資環境や市場の変化に対応するためには、継続的な学びとリサーチが欠かせません。書籍や専門家の意見を取り入れ、自分の知識をアップデートしていきましょう。
まとめ
大きな下落相場に直面したとき、冷静さを保ち、長期的な視点を持つことが重要です。分散投資や資産配分の見直しを行い、適切なタイミングでの買い増しを検討することで、下落相場を乗り越える力を養いましょう。過去の成功者の教訓も大いに参考にし、自信を持って投資を続けてください。
こんな時期にこそ不朽の名著を読むことで自分の投資方針の再確認や、落ち着いた行動の見直しに意識を向けることが出来るようになります。
以下は僕が愛読している投資界隈では超有名な書籍ですので、もし今回の下落で心にダメージを追っている方は一読してみてください。
これからの投資方針と自身の投資手法の支えになってくれると思います。